痔瘻、肛門周囲膿瘍について
肛門周囲膿瘍(はれじ)とは何か
肛門周囲膿瘍(はれじ)とは肛門の周囲にできる膿のかたまりです。直腸と肛門の境目すなわち直腸粘膜と肛門部の皮膚の境目に歯状線というものがあります。この漏斗状にへこんだ部分に汚物がたまり、炎症がおき、さらに進んで肛門腺管から肛門腺へと進み、化膿して膿がたまります。これが肛門周囲膿瘍のはじまりで、浅いところや筋肉の奥の深いところなどといろいろの場所に膿がたまります。こうなると肛門の周りがはれたり痛んだり、局所に熱を持ったり、全身的に熱がでることもあります。痔の疾患で発熱するのはこの肛門周囲膿瘍だけです。
痔瘻(あなじ)とは何か
痔瘻(あなじ)というのは直腸肛門管と連絡のある管のことです。肛門周囲膿瘍が破れると肛門管と連絡する治りにくい管が残り、これを痔瘻といいます。痔瘻には粘膜下や皮下を走る軽いものから、肛門周囲の筋肉を複雑に貫くものまでいろいろな種類があります。
肛門周囲膿瘍と痔瘻のできる原因
肛門周囲膿瘍と痔瘻の原因ははっきりとはわかっていません。最も有力なのは次の説です。直腸と肛門の境目すなわち直腸粘膜と肛門部の皮膚の境目に歯状線というものがあります。この部分は漏斗状にへこんでおり、この肛門小窩という部分に便などの汚物がたまり、炎症がおき、さらに進んで肛門腺管から肛門腺へと進み、化膿して膿がたまってしまいます。これが肛門周囲膿瘍のはじまりで、浅いところや筋肉の奥の深いところなどといろいろの場所に膿がたまります。こうなると肛門の周りがはれたり痛んだり、局所に熱を持ったり、全身的に熱がでることもあります。痔の代表的な3種類の中で発熱するのはこの肛門周囲膿瘍だけです。元々の原因となるくぼみの穴を一次口(原発口)、多くは膿瘍を切ったり自然に破れて出来る肛門の外にある穴を二次口と呼びます。
女性に多い症状
痔瘻は男性より女性に多く、この原因は、はっきりとはわかりません。ただ男性は女性より肛門括約筋の発達が著しく、特に排便時の直腸の中の気圧(内圧)は男性の方が高いようです。そのため直腸内の便などの汚物が追いやられやすいのではないかと考えられています。大きな複雑な痔瘻は体重の多い、括約筋の強い人によくみられます。
肛門周囲膿瘍や痔瘻の予防
慢性の裂肛から痔瘻になることも
肛門周囲膿瘍や痔瘻を予防することは困難です。強いていえば下痢をおこさないよう、肛門が不潔にならないように注意することです。慢性の裂肛(切れ痔)の経過中に痔瘻になることもありますから、切れ痔も早く治しておくと良いでしょう。その他の一般的な注意として
- 便秘をしないこと。
- 肛門を清潔にすること。
をされた方がいいでしょう。よくお風呂に入り、規則正しく排便をする良い習慣を身につけることです。つまり排便の時は急いで強くいきんで排便しないことです。便秘の予防法の一つは便意をおさえず、すぐトイレに行くことです。また
- 排便は力まず、短時間に切り上げること。
- 生野菜・果物・ジュース類をよくとり、またアルコール類は飲み過ぎない。
- 入浴をよくして肛門を温め、清潔にすること。
も必要です。