裂肛について | 山添医院

京都市左京区の山添医院 肛門科

裂肛について

裂肛とは何か

主な症状は痛みと出血

 裂肛の主な症状は痛みと出血です。裂肛は俗に“きれじ”などといわれ、肛門の出口に近い部分が固い大便の通過により切れる事が原因でできるものです。この部分は神経が過敏なために、排便時にもっとも痛く、その痛みは排便後もしばらく続きます。

慢性化すると便秘症に

 裂肛が慢性化すると、肛門潰瘍ができます。こうなると肛門はだんだん狭くなり、便が出にくくなり、さらに排便時に潰瘍が刺激を受けて激痛が走るようになります。これが苦痛となるため便をする回数が少なくなり、便秘症となり便が固くなるという悪循環を繰り返すことになります。

ひどくなると肛門周囲膿瘍(はれじ)や痔瘻(あなじ)に

 また肛門潰瘍から感染が起こり、膿がたまるようになると肛門周囲膿瘍(はれじ)や痔瘻(あなじ)となることもあります。また慢性化するとできてくるのが肛門ポリープと皮膚のたるみ(皮膚垂、スキンタグ)です。この2つと潰瘍を合わせて裂腔の3つの特徴(三徴)とよばれます。裂肛は男性よりは女性に多く見られます。これは女性の方が便秘が多いことなどが関係しているようです。


裂肛がある方の日常生活の注意

裂肛の治療法の基本は、

  • 便秘をしないこと。
  • 肛門を清潔にすること。

の二つです。よくお風呂に入り、規則正しく排便をする良い習慣を身につけることです。つまり排便の時は急いで強くいきんで排便しないことです。便秘の予防法の一つは便意をおさえず、すぐトイレに行くことです。若い女性の場合、便秘が多くみられますが、便意をおさえることが便秘のはじまりになることも多いようです。また

  • 排便は力まず、短時間に切り上げること。
  • 生野菜、果物、ジュース類をよくとり、またアルコール類は飲み過ぎない。
  • 入浴をよくして肛門を温め、清潔にすること。

も重要です。


裂肛の治療

まずは日常生活の見直しを

 裂肛は良性疾患であるため、絶対手術をしなければならない場合というのは限られています。創が比較的新しく浅いすなわち軽い裂肛は、まず大便を柔らかくすることが最も大切です。そして入浴や坐浴で創口をきれいにすることです。すなわち日常生活では生野菜、果物、ジュースなどの水分を多くとり、適度な運動を行って、便秘を改善する事が大事です。

痛みのある間はお薬を使用した治療

また特に痛みのある間は、下剤を使ってでも柔らかくする必要があります。その他に痔の坐薬や軟膏を肛門から入れて創部が治癒を促進してやります。また最近では肛門の周りに心臓の狭心症の治療に使われるニトログリセリン軟膏をぬる方法も行われ、頭痛などの副作用がありますが、かなり効果的な方法と思われます。慢性化して肛門ポリープや皮膚のたるみが大きくなってじゃまになる場合や、肛門自体が細くなりすぎ、お薬で治らない場合は、手術をした方がよいようです。

当院では日帰り手術を行っています

 手術方法としてはまず比較的軽い場合には、仙骨麻酔や局所麻酔をおこなって内肛門括約筋を一カ所で切離する方法(内括約筋側方切開手術)や肛門を麻酔後に指や器械で広げる方法(用手肛門拡張術)が行われ、強度の狭窄を伴うような場合や肛門ポリープやスキンタグがとても大きくなった場合は、裂肛を切除する方法(裂肛根治手術)が行われます。当院ではこれらの手術を局所麻酔を行って、外来にて日帰り手術で行っております。